私の神楽坂風景
本日のカメラ:Panasonic Lumix GX8
かつて神楽坂にはよく通っていたことがあります。
通っていたというのは、鍼灸の往診でした。
患者様からのご紹介で、神楽坂まで往診していました。
当時私は実家に引っ込んでいたので、片道2時間以上(もしかしたら3時間近いかも?)かけて往診していました。
その頃はまだ駆け出しだったのと、また、実家に引っ込んでいるのは一時的なものだと考えていたので、いろいろと人生における事件が多発していたりもしたので、いつ何どきこの往診が中断されるかもしれない状況でしたから、あえて往診料はいただかないで、鍼療代だけいただいて神楽坂まで行っておりました。
片道数時間ですから、朝早く出かけていきます。数十分かけて急な坂道を登っていきますから、夏などはそれだけで大汗です。往診してみても、昼食をとったり飲みもの買ったりと、何かと出費があります。さらにちょっと自分の体調が悪いときは特急に乗って帰ることもあったので、そうなると手元にはいくらも残りません。まだのんびりマイペースでやっていこうと思っていた時期なので、それほど深刻には思っていませんでしたが、正直なところ、割のいい仕事ではありませんでしたから、雨の日や夏の暑い日などはつらかったですね。
鍼灸師の矜持なんてもので出来るものではありませんが、頼まれたことだからやる、ただそれだけでやっていたと思います。
唯一よかったのは、行き帰りの電車で読書が集中してできたことでしょうか。
でも、結局、帰りに本屋に寄っていくかということになるので、往診料で本を買って赤字ですね(苦笑)
神楽坂の患者さんはとてもいい方で、仕事が終わると麦茶を出してくれたり、庭にある柿の木になった柿を出してくれたり、ほんとうによくしていただきました。
何年通ったか忘れてしまいました。
2年、3年というところだったでしょうか。
最後は、“もうだいぶ良くなったし”ということで、この往診は終わりました。
いや、“良くなった”とは言ってくれたけど、実際は“もう飽きた”というのが本音だったかなと思います。私もまだ駆け出しで未熟な腕だったし、またかなり年配の方で、私が診はじめた時点で症状が悪かったですから、鍼灸で効果を出すにも限界がありました。なので、患者さんとしてはこれ以上の効果が期待できないとのことで、“そろそろ区切りを”ということだったと思います。とても有り難い方でしたから、これを私に伝えるのもつらかったかなと思います。私もそこまで鈍感ではありませんからそこは気がつきます・・・。
このとき私は一抹の淋しさもありましたが、でも、もう一方では、ホッとしたような、ようやくこの長距離の往診から解放されるのかと、なんだかいろんな気持ちが入り混じったものでした。
私は神楽坂がとても大好きです。
おいしいお店もたくさんあるし、写真を撮りたくなる光景がたくさんあるから。
しかし、そういうこともあって、神楽坂は私にとっては特別で、妙な空気にさせてくれる街でもあります。神楽坂という名前を聴くと、ちょっと楽しくなる。でも、どこか淋しげな自分がいる街。
今回は、いわゆる神楽坂のメインストリートとは離れたところを歩き、確実に近いうちに失われていく風景を写真に納めてみました。
何の変哲もない街のたたずまいです。
しかし、私にとっては、とても複雑な光景に見えるのであります。
私が往診していたところは、赤城神社の横の道を下っていくところにありましたので、毎回赤城神社には参拝していきました。当時の赤城神社は、失礼ながら少し陰鬱で暗い感じがありました。
そんな赤城神社も、今や建築家・隈研吾によるリニューアルで今や観光スポット。併設するおしゃれカフェには若い女性もたくさん集まります。かつては限られた人しか参拝しない神社だったと思いますが、今や神楽坂を代表するランドマークとなっていて、かつての姿が夢のようです。
今日は裏通りを中心に歩いたので、やけにそんなことを思い出し、そして、そんなことを思いながら向けた被写体は、どこか古びたものばかりとなりました。
そしてお昼を食べて、今度は飯田橋方面へ。
坂を下って、やや上に昇る感じで。
お目当ては青森の物産館。
ここで買う松前漬けがおいしい。
納豆に入れて一緒にかき混ぜれば、もうそれはそれは贅沢な食事になるのであります。
そしてお昼を食べて、今度は飯田橋方面へ。
坂を下って、やや上に昇る感じで。
お目当ては青森の物産館。
ここで買う松前漬けがおいしい。
納豆に入れて一緒にかき混ぜれば、もうそれはそれは贅沢な食事になるのであります。
さて、今日の神楽坂散歩も終わり。
私も家路つくとするか。
今日の一冊
使用しているカメラ・レンズ・機材
これまでの寫眞機帖
写真好き、カメラ好き、レンズ好き
瀬戸郁保 Ikuyasu Seto
スマートフォンのカメラの性能が上がったけれど、やっぱりカメラが好き。とくに濃い感じの絵作りが好きです。メインはSIGMA。本業は鍼灸師、国際中医師、気功などの東洋医学畑。東京の表参道で源保堂鍼灸院・薬戸金堂を営んでいます。
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しかし、それでもカメラが好きなものとしては、各カメラの絵作りのようなものが伝わればと思っておりますので、その参考になれば幸いです。