本日のカメラ:CONTAX G1
長くなってしまった中国研修の写真
当初、この『中国研修にて』シリーズは、3回くらいで終わらせようと思っていました。
しかし、写真を見ていると、こんなこともあったなぁとか、あんなこともあったよねと思い出すことも多く、そして写真も、(自分でいうのもなんですが)いい写真が多い。
さらに、今は亡き師匠が出ている写真を見ると、ずいぶんと時間が経ってしまったんだなぁと感慨深くなってしまうのも拍車がかかる。
実は師匠だけではなく、師匠の息子さんも最近亡くなってしまったのです・・・。師匠の息子さんを仮にここでS氏と呼ばせていただきますが、S氏は、この中国研修に参加したメンバーの中では一番歳が近く、そしてホテルで同室だったので、いろんなことを語り合いました。鍼のこと、研究会のこと、そしてくだらいなこと。ここではお見せできないような、草原で相撲を取った写真などもあります・・・。
そんないろいろな思い出があるためか、一つ一つの写真を見ているうちに、これは残していかないといけないかなと思ったり、そして、これは寂しいことですけど、お咎めをする人がいないんですよね。「おい、いくちゃん!そんなこと書くなよな!(笑)」と、たぶん言うはずなんですが、そういう小言もない・・・。これは意外と寂しいものだと気がついたのです。
なら、どうせなら、どこまで行くか分からないけれど、写真があるだけ載せようと思ったのであります。
でも・・・
その写真もそろそろ終わりに近づいてきました。
人々の生活を撮りたかった
青臭い話ですが、かつて私は写真家になりたかった。
大学生の頃、アジアの国々を巡るにつれて、このまま旅の枕で死んでもいいやと思うくらい、旅が好きだったのです。そして、アジアの人々の生活を知りたいし、アジアの人々の生活を共にしたかった。写真を撮るも好きだから、このまま写真家になろうかと思った時期もありました。
それはいろいろなことがあって実現はしなかったのですが、今こうして過去の写真を見ると、とにかく自分は、“人々が生きている姿を撮りたかった”のだということに気がつきました。中国研修という鍼灸や東洋哲学の勉強をしに行ってる旅にもかかわらず、私は人々の生活にファインダーを向けていたのです。団体行動で、限られた時間の中で街に出ては写真を撮っていたのです。
今はすっかりみんなスマホというカメラを持って歩いているし、SNSでアップすることも当たり前。それについれて、写真一枚一枚の価値も下がってきたのではないかと思います。撮ったり撮られたりという行為が、それほど貴重ではなくなったわけです。
そしてそれと並行して、プライバシーの妨害が昔より厳しくなってきたと思いおます。撮られた側からしたら、SNSでばらまかれては困りますし、犯罪に使われないとも限られないですから、なかなか街を歩いていてカメラを人に向けるというのは難しいわけです。
そんな時代がちょっと残念ではありますが、社会生活を営むためにはそういったマナーも必要なわけで、それをどうこういうつもりもありません。ただ、私は、人の表情、人の生活、それぞれの人生の決定的瞬間みたいなものを撮りたかったのだなと、これらの中国研修の写真を見て思い出したわけであります。
やはり笑顔のために
かつてアジアへ旅をすると、決まって人を撮っていた。
個人であったり、家族であったり、いろいろなシチュエーションがあった。
かつて写真は貴重だった。
カメラも必要だし、フィルムや現像代もかかってしまう。趣味としても、それはコストの高いものだった。
デジカメが出てからも、しばらくデジカメは高価なものだったから、写真を撮ることはとても特別なことだった。
しかし今はスマホが一般化してしまったので、写真を撮ることは当たり前であったりする。
でも、どうなんだろう・・・。
誰が何といったって、やはり“カメラ”っていうものは、スマホとは違う存在感を放っているのではないだろうか。
カメラはスマホでは代替できない何かがある。
これからも、カメラを向けると笑顔が返ってくる・・・。
いつの時代にあっても、そうであってほしい。
空港ではたらいている女性にカメラを向けた。
たしか・・・
馬頭琴のCDを購入した売店の女性だったと思う。
お薦めを聞いたり、値段を伺ったり、いろいろと話をした。
恥ずかしがらずに、飛び切りの笑顔を見せてくれた瞬間だった。
人生は必ずしも楽しいことだけではない。ときには悲しいことも、つらいことも襲ってくるだろう。
でも、このフィルムに納めれらた笑顔の瞬間もまた、人生の一部なのだ。
いつかつらくなったとき、この笑顔があったことが自分自身を助けてくれる、そういう永遠の瞬間を撮ってきたことは、我ながら誇らしいと思うのであります。
今日の一冊
使用しているカメラ・レンズ・機材
これまでの寫眞機帖
写真好き、カメラ好き、レンズ好き
瀬戸郁保 Ikuyasu Seto
スマートフォンのカメラの性能が上がったけれど、やっぱりカメラが好き。とくに濃い感じの絵作りが好きです。メインはSIGMA。本業は鍼灸師、国際中医師、気功などの東洋医学畑。東京の表参道で源保堂鍼灸院・薬戸金堂を営んでいます。
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しかし、それでもカメラが好きなものとしては、各カメラの絵作りのようなものが伝わればと思っておりますので、その参考になれば幸いです。