伊勢路歩き（２）

本日のカメラ：SIGMA dp1 Quattro

土地全体がご神域なのか

　私が初めて伊雑宮がある上之郷を訪れたのは、もうかれこれ１０年以上も前。

　その頃からここの風景は変わっていない。

　ここは時間が止まっているかのようだ。

　しかし、その”時間が止まっている”という感覚は、おそらく私が初めて訪れた頃からということではないだろう。それはもうずっと昔から時間が止まっているのではないだろうか。伊雑宮の樹々が静かにたたずみながら時間を刻んでいくように、それと同調するかのようにここは時間が止まっているのだ。

　私が思うに、伊勢神宮があるこの地域全体そのものが、もう辺り一帯がご神域なのではないか。
　そのご神域に人間が勝手に侵入してそこで生活をする・・・そういったことなんだろうかと思う。そもそも人間が住んでいいのだろうか。ここはご神域だ、住むからにはひっそりと、時間を止めてしまわねばらないのではないか。そんな気がしないでもないのだ。

　だからなのか、この辺りは街が良い具合にやれているのだ。

　”時間が止まっている”というのは、悪口ではない。
　むしろ、何ものにも動じずに、営々として生活を営む感じで、とても好感が持てる。

　伊勢というご神域を守るにはこれくらいがちょうどよく、こうでもしないと守れないのだろう。

　そういう意味では、ここに住まわれている方々には畏敬の念を抱かずにはいられない。

　もしここに自分が住んだらどうなるだろう。
　朝から夜まで、のんびりとこの景色を眺めながら暮らすのだろうか。
　時間を止めて、ゆったりゆったり。

　上之郷の駅は無人。
　当然ながら、各駅停車しか止まらない。
　でも、今はこういう時代だからSuicaやPASMOのような交通系カードが利用できたりするのは、この景色にそぐわないけれど時代の流れを感じる。

　今日の一冊

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